『四畳半神話大系』/森見登美彦


太陽の塔』で第15回日本ファンタジーノベル大賞を受賞した森見登美彦の第二長編。先日読んだ『夜は短し歩けよ乙女』に先行する作品で、やはり舞台は京都、主人公は妄想癖のある大学生である。


この小説は一風変わった構成になっていて、主人公の選択の違いにより、4つの物語が展開していく。面白いのは、違う物語なのだが、要素は同じだという点。つまり、主人公がどの選択肢を選んでも、ある場面は変わらない。しかも4つの物語は互いに補完しあっており、不思議な夢を見せられているような心持にさせられるのだ。『太陽の塔』と文体は同じだが、まったく違う世界を見せてくれる小説だなあ。


樋口師匠や羽貫さん、猫ラーメン、映画サークル「みそぎ」など、森見ワールドの共通要素も満載なので、『夜は短し歩けよ乙女』が面白かった方も、ぜひ。


四畳半神話大系

四畳半神話大系