2006-10-01から1ヶ月間の記事一覧

『文庫版 百器徒然袋 雨』/京極夏彦

探偵・榎木津礼二郎が活躍(暴走?)する中編集。とはいえ、それなりの分量があるので、短めの長編が3本という方が適切かもしれない。毎度毎度、榎木津に担ぎ出される京極堂も、何気に楽しんでいるようで新たな一面が見られる。 「鳴釜」――集団暴行を受けた…

『姑獲鳥の夏』/実相寺昭雄

映像化は不可能とまでいわれた、『姑獲鳥の夏』の劇場版。 監督は、『ウルトラマン』や『帝都物語』の実相寺昭雄。 もはや映画としてどうか、というよりは、純粋に映像を楽しむ作品だろう。 配役はいずれもハマリ役で、特に阿部寛の榎木津、原田知世の久遠寺…

『さよなら妖精』/米澤穂信

この作家は初読。ライトノベル系列だと思うが、なかなか面白かった。 ユーゴスラヴィアからやってきた“マーヤ”の存在をめぐるミステリだ。 鷹城宏の解説にもあるように、本書は「日常の謎派」のミステリであり、ボーイ・ミーツ・ガールの物語でもある。まだ…

『文庫版 姑獲鳥の夏』/京極夏彦

京極堂シリーズ第1作。 ノベルス版を読んだのが、もう10年も前になるとは。時の経つのは早いものだ。 デビュー作にはすべてが詰まっている、とよくいわれる。本書を改めて読み返してみて、完成度の高さにため息が出た。赤児の連続誘拐事件、密室消失事件、二…

『プロフェッショナル 仕事の流儀(1)』

NHK番組の書籍版。番組キャスターは脳科学者の茂木健一郎。 星野佳路、リゾート再生請負人。「リーダーに必要なのは、まず行き先を示すこと。そして示した行き先に共感を得る力です」。 佐野俊二、小児心臓外科医。「まず第一に集中力。集中力が高まると、普…

『冷えきった週末』/ヒラリー・ウォー

フェローズ署長ものの一作。 浮気にうつつを抜かす、上流階級の様子を冷めた目で描いている。フェアプレイではあるのだろうけど、いまひとつ推理にスッキリしないのは、情報過多だからだろうか。事件自体に魅力を感じないのも、理由のひとつかな。「105項目…

『パニックの手』/ジョナサン・キャロル

じつはジョナサン・キャロル初体験。一読した感想は、ポップなトルーマン・カポーティみたい。アメリカ文学の匂いが濃厚な短編集ですね。 まず、しょっぱなの「フィドルヘッド氏」にヤラレた。途中までは、ピーターパン的なファンタジィなのだけれど……ラスト…

Leffe Blonde

フルーティなベルギービール。東急ハンズで1本400円也。 苦味が少なく、ほんのり甘いので、女性も飲みやすいと思う。 先日、ビアバーで飲んだマレッツ6なんかも良かった。

『邪魅の雫』/京極夏彦

京極堂シリーズ最新刊。 前作『陰摩羅鬼の瑕』は特異な舞台だったが、今回は江戸川、大磯、平塚で次々と毒殺事件が起きる。いつもの妖怪話は鳴りをひそめて、モジュラー型の警察小説の匂いさえ漂っているのが、異色といえば異色。個人的には木場の旦那の登場…

『ウルトラマン誕生』/実相寺昭雄

特撮映像の世界では知らぬもののいない、実相寺昭雄が語る「ウルトラマン」の撮影エピソード。もともとは『ウルトラマンのできるまで』と『ウルトラマンに夢見た男たち』の二冊だったものを、合本改題したものだ。本書ではウルトラマンが誕生し、育まれ、多…

『シン・シティ:ビッグ・ファット・キル』/フランク・ミラー

シリーズ第3弾。2作目を読んでいないのだが、冒頭にあらすじがあるので、だいたいの展開はわかる。 主人公のドワイトは女に暴力をふるう男、ジャッキー・ボーイを追い、オールドタウンへ向かう。そこは娼婦たちが自ら武装し、自衛している街。二刀流の女殺し…

『シン・シティ:ハード・グッドバイ』/フランク・ミラー

こいつは、ハードボイルドなアメコミですね。シリーズ第1作。 主人公のマーヴは、ある日、天使のような女と一夜を共にする。彼女の名前は、ゴールディ。しかしマーヴが起きると、その隣でゴールディは死んでいた。同時に駆けつける警官たち。罠だ。そう直感…

『わたしを離さないで』/カズオ・イシグロ

『日の名残り』でブッカー賞を受賞したカズオ・イシグロの最新長編。 とても素晴らしい小説なのだが、あらすじをここで記すわけにはいかない。ただ、きらめく青春を切り取った、とても切ない物語であることは確かだ。 著者の小説で繰り返される、「運命」と…