2006-09-01から1ヶ月間の記事一覧

『テレビCM崩壊』/Joseph Jaffe

日本でも「テレビCMが効かない」といわれて久しいが、本書はアメリカの広告界をケーススタディに、崩壊しつつある従来のマス広告について論破する。 アメリカの広告が中心なのでピンとこない話もあるが、ようするに「広告らしい広告は撃墜されていく」という…

『不思議な少年(5)』/山下和美

山下和美を知ったのは、当然のごとく『天才柳沢教授の生活』。 この漫画家のニンゲン観察眼は、とても深くて、優しいと思う。 『不思議な少年』もまた、しかり。“狂言回し”の役をつとめる少年は、人智を超える存在で、ときに人を翻弄し、ときに人を救う。神…

『<旭山動物園>革命』/小菅正夫

廃園寸前から一転、日本一の動物園に生まれ変わった「旭山動物園」。 その復活劇を、同動物園の園長が語る。 まず彼らが最初に行なったのは、「動物園とは何か」という本質を考えること。たんなる娯楽施設ではなく、教育、自然保護、調査・研究の場でもある…

『つゆダク(1)〜(10)』/朔ユキ蔵

アホな漫画である。芸術的なまでに、アホな漫画だ。 主人公の卓郎は、アイドルに会いたい一心でテレビ局に入社。しかし彼には、とんでもない密命が待っていた。それは「芸能人とセックスすること」。狭い業界内で生きる女性たちの鬱憤を晴らすべく、卓郎は「…

『しゃばけ』/畠中恵

日本ファンタジーノベル大賞優秀賞作。 江戸を舞台にした、時代ミステリの秀作だ。 主人公の一太郎は、江戸有数の廻船問屋の息子。幼い頃から身体が弱く、17歳になったいまも外出すらままならない。そんな彼には特殊な能力があった。それは、妖怪を見られる…

『クライマーズ・ハイ』/横山秀夫

久しぶりにイッキ読み。個人的には『半落ち』よりも感動が深かった。 ビールを飲みながら読みはじめて、酔うヒマがないくらい興奮したものなあ。 物語は1985年、御巣鷹山に日航ジャンボ機が墜落したところからはじまる。群馬の地元紙「北関東新聞」に勤める…

『若者はなぜ3年で辞めるのか?』/城繁幸

キーワードは、「昭和的価値観」と「年功序列制度」。 若年層の失業率が高い背景には、団塊の世代が既得権益にしがみついてきた歴史的事実がある。著者はそれに加え、年功序列というシステムそのものが、ねずみ講的な詐欺であることを指摘する。格差を生み出…

『地下鉄に乗って』/浅田次郎

浅田次郎的リリシズムが全開の長編小説。とはいえ、後悔とか、未練とか、そういうものとは一線を画している。けっこうドライな小説なのだ。 主人公の小沼真次は、派手な下着専門のアパレルメーカーに勤務するサラリーマン。同僚のデザイナー、みち子とは肉体…

今夜のひとこと(中曽根康弘)

「サンデープロジェクト」に中曽根康弘が出演。 好きか嫌いかはともかく、やっぱりこの人はたいした政治家だと思う。 「日本は東南アジアで諸島国連合をつくるべきだ」という話が面白かった。 なるほど、日本は海の国なんだなぁ。 時代の証言者〈2〉戦後政治…

『ブラック・ラグーン』/広江礼威

こりゃまた、すごいな。久々のハードコア漫画。 「特攻野郎Aチーム」を1万倍くらいバイオレンスにした作品ですね。 やたらキャラクターが濃いのはジャパニーズ・アニメーションのお約束だとしても、ここまで非情な物語がつくれることに敬服した。商業主義の…

『ウィンチェスター銃 '73』/アンソニー・マン監督

ジェームズ・スチュワート主演の西部劇。1950年公開。 主人公のリンは、ライフルの名手。彼が仇敵を求めて、ダッジ・シティを訪れる場面から物語ははじまる。そこで酒場女を追い出そうとする男に、つっかかるリン。ところが相手の男は、町の保安官、ワイアッ…

『名もなき毒』/宮部みゆき

登場人物はコミカルだが、テーマは重い、という作品。 ミステリとして読むと、肩透かしを食うかもしれない。これは寓話ですね。 主人公の杉村三郎は、今多コンツェルンの社内報を編集するヒラのサラリーマン。彼の妻は会長の娘なのだが、権力争いとは無縁の…

subservient chicken

これは面白い。そうとう古いネタだけど。 なつかしいなぁ、バーガーキング。 http://www.subservientchicken.com

景品狂想曲

角川文庫のブックカバー目当てに、滝本竜彦を2冊購入。 いや、だってケロロ軍曹のカバー、2種類とも欲しかったんだもの……。

『第三の時効』/横山秀夫

F県警強行犯を描く、連作短編集。 『半落ち』が黄金期のハリウッド映画的ヒューマンドラマだとすれば、こちらはフィルム・ノワールの世界。エド・マクベイン「87分署シリーズ」や、エルロイ「LA四部作」に近い手触りの作品だ。いかに他の班を出し抜き、手柄…

『流星ワゴン』/重松清

中年の悲哀を描かせれば天下一品、重松清の後悔小説。 悲しくなっちゃうくらい、人生の坂道を転がり落ちてきた38歳の永田さんが主人公だ。生きる希望を失くした彼が出会ったのは、5年前に交通事故で死んだはずの橋本親子。二人の「オデッセイ」に乗り込み、…