『<旭山動物園>革命』/小菅正夫


廃園寸前から一転、日本一の動物園に生まれ変わった「旭山動物園」。
その復活劇を、同動物園の園長が語る。


まず彼らが最初に行なったのは、「動物園とは何か」という本質を考えること。たんなる娯楽施設ではなく、教育、自然保護、調査・研究の場でもあると再認識したことが、根幹にある。そして動物の本来の姿、動物にとってどんな状態が幸せなのかを、真剣に考え抜く。その成果が、空中を歩くオランウータンであり、ペンギンの散歩であり、円柱を泳ぐアザラシだった。


本書から感じるのは、小菅園長の動物たちへの深いまなざしだ。けっして、入園者を増やすことばかりが目的なのではない。いかに動物たちがストレスなく生活でき、繁殖行動を行なえるようサポートするか。動物がイキイキと動き回る環境をつくることこそが、旭山動物園の復活につながっている。そしてなにより、「どんなに大きな夢でも、まずは語り合ってみる」という懐の広さが、意外性あふれるアイデアを育んだのだろう。組織マネジメントにも活かせる良書だ。


「旭山動物園」革命―夢を実現した復活プロジェクト (角川oneテーマ21)

「旭山動物園」革命―夢を実現した復活プロジェクト (角川oneテーマ21)