『ウィンチェスター銃 '73』/アンソニー・マン監督


ジェームズ・スチュワート主演の西部劇。1950年公開。


主人公のリンは、ライフルの名手。彼が仇敵を求めて、ダッジ・シティを訪れる場面から物語ははじまる。そこで酒場女を追い出そうとする男に、つっかかるリン。ところが相手の男は、町の保安官、ワイアット・アープである。このへんのサービス精神が、西部劇ファンにはたまらない。


町ではライフル競技が開催され、リンは仇敵の“ダッチ”に射撃競技で打ち勝つ。優勝商品は、1000にひとつの銃といわれる「ウィンチェスター'73」。ダッチはリンを待ち伏せし、ウィンチェスター銃を奪うが、ここから物語は転々としていく。


意気揚々とするダッチだが、商人とのポーカー勝負に敗れ、銃を引き渡す羽目に。その後もウィンチェスター銃はインディアン、臆病者のスティーブ、無法者のウェイコ・キッドと次々と持ち主を変える。そしてラストの決闘の結果、ふたたびリンの手元に戻る。そう、これは魔性のライフル銃をめぐる物語なのだ。


手塚治虫の短編「火の谷」(1960年)は、おそらくこの映画の影響を受けて描かれたものだろう。「火の谷」ではデビル・ジョスレーと呼ばれる悪魔の銃が登場し、持ち主は次々と不幸の死をとげる。