『しゃばけ』/畠中恵


日本ファンタジーノベル大賞優秀賞作。
江戸を舞台にした、時代ミステリの秀作だ。


主人公の一太郎は、江戸有数の廻船問屋の息子。幼い頃から身体が弱く、17歳になったいまも外出すらままならない。そんな彼には特殊な能力があった。それは、妖怪を見られること。じつは手代の仁吉と佐助も、白沢と犬神という妖怪。家には家鳴(やなり)や屏風のぞきなどがひそんでいる。


本書では一太郎が大工殺しを目撃し、下手人に命を狙われるところから物語がはじまる。話が進むにつれて、さまざまな妖怪が登場し、一太郎を助けるのも見所のひとつ。特にどこがいい、という小説ではないが、時代小説とか妖怪に興味があれば、楽しく読めるだろう。とぼけた雰囲気も、のんびりしていていい。


しゃばけ しゃばけシリーズ 1 (新潮文庫)

しゃばけ しゃばけシリーズ 1 (新潮文庫)