『半落ち』/横山秀夫


いまさらながら、のミステリなので、紹介はいらないと思うけれど。
まず、題名が良い。完落ちならぬ、半落ちなのですね。
物語の焦点は、妻殺しをした梶警部の空白の2日間に当てられるのだけれど。
その捜査の間に、県警や検察の思惑が絡み合い、さらに緊張感が高まる。
真実はふたつあってもいいのだ、という台詞は、組織人なら一度は感じた
ことがあるものだろう。


“ひとりの人間を助けるために、多くの人が自分を賭ける”という構成は
浅田次郎の『壬生義士伝』にも通じるが、やはり感動は深い。
静かな小説だが、すっと心に入りこんでくるのは、さすがですね。


半落ち (講談社文庫)

半落ち (講談社文庫)