普遍的事実


久しぶりに取材に出かけたが、人事担当者と話していて感じたのは、どの会社も悩みは変わらないということ。どんなにしっかりした人事制度や待遇を用意しても、人が育たなければ組織は弱体化する。この1年くらい、人材育成(というと偉そうだけど)のことを考え続けてきたが、結局は人と人とのコミュニケーションに帰結するというのも、まったくの同感。システムで統制しようというのは無茶な話で、たんに兵隊とうつ病患者を増やすだけだ。


あと、「当たり前」というフレーズもたいへん危険で、そういう言葉に酔ってしまうと、人間関係は機能不全を起こす。一律の価値観のなかで生きるには便利だろうが、そういう組織はファシズムに近いもので、非常に気色が悪い。性格の悪いヤツとか、不器用なヤツとか、ネジがゆるんでいるヤツとか、いろいろいたほうがむしろ健全、という気さえする。大切なのはどう仕事と向き合ってもらえるように導くか、ということであって、人格を変える必要はまったくない。そもそも、歩んできた人生が違うのだから、成長スピードも個人差があって当然だと思う。極端な話、日経新聞なんて読まなくても求人広告のトップセールスとか、トップクリエイターになれるはずだ。なぜなら、人間の生き方なんて数千年前から変わっちゃいないからだ。


というエラソーなことをいえるのも、数多の失敗を繰り返してきたからで、この話さえも間違っているのかもしれない。ただ、僕は求人広告である程度の成果を出す自信があるし、それは専門知識の有無とはあまり関係がない。知識なんてのはいわば流行だから、そのときそのときで調べて、いらなくなったら捨てればいい。そう考えるようになってから、広告をつくるのが、とても楽になった気がする。