語りかける風景


写真や絵画をぼんやりと眺めていると、ときおり音が聞こえてくる。それは幻聴といった類のものではなくて、ある種の記憶の再生だといえる。切り取られた風景のどこかが、かつて見たビジュアル(それはフォルムであったり、色彩であったりする)に付随していた音を浮かび上がらせるのだ。僕の場合、匂いを伴うことはないが、きっと嗅覚を刺激される人も世の中にはいるのだろう。