『銀河英雄伝説(4) 策謀篇』/田中芳樹


四巻目にして、ラインハルト率いる帝国軍は自由惑星同盟への大規模な侵攻に取り掛かる。第三勢力のフェザーンの策謀を巧みに利用し、同盟への電光石火の攻撃を仕掛ける終盤のめまぐるしい展開は、息を呑むほど。戦争の勝敗は「戦略」時点で大勢が決する、という基本ルールが徹底されているからこそ、このシリーズは物語のダイナミズムを堪能することができる。一方、ユリアンを手放した状態で、イゼルローンにてロイエンタールを迎え撃つヤン・ウェンリー。「馬鹿な政治家」をののしりつつ、“不敗”の戦術がどこまで通用するのか、次巻が気になるところだ。


話は変わるが、創元推理文庫版の星野之宣のカバーイラストは素晴らしい。


銀河英雄伝説〈4〉策謀篇 (創元SF文庫)

銀河英雄伝説〈4〉策謀篇 (創元SF文庫)