『銀河英雄伝説(5) 風雲篇』/田中芳樹


いよいよ、ヤンとラインハルトの直接対決。
まだ折り返し地点なのに、こんなに盛り上がりすぎて良いのでしょうか。

不意にヤンは首をすくめ、
「あぶないあぶない」
とつぶやいた。自己嫌悪の浅い池の底に、深い穴があいていることをさとったのである。自分がこうしていれば事態を変えることができた、と思いこむのは、自己過信というべきではないか。今回はこれで充分と言わねばならない。


そう、「あのときこうしていれば」というifは、過信なのかもしれない。人は、そのときどきでベストな判断をしているはずだし、それを「できたかもしれない」と考えるのは思い上がりだ。自己嫌悪は、ときとして傲慢さをともなう。僕も、「あぶないあぶない」と思える人間でありたいと思う。


銀河英雄伝説〈5〉風雲篇 (創元SF文庫)

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