『墓石と決闘』/ジョン・スタージェス監督


おそらくワイアット・アープは、ウェスタンで最も有名なヒーローだろう。同じスタージェス作品の『OK牧場の決斗』も素晴らしい出来だったが、本作の緊張感はとてつもなくすごい。法と復讐のはざまで揺れるワイアットの姿を、繊細に描いている。

連邦保安官として、「自分は法を守る」といいつつも、弟の仇を次々と撃ち殺していくギリギリ感。そして道を踏み外していくワイアットに、最後まで付き合おうとするドク・ホリデイ。このドクを演じるジェイソン・ロバーズの素晴らしさは、とにかく観てほしいとしかいえないな。序盤の法廷シーンから、追跡隊を結成し、復讐へと心が傾いていくワイアットの心情が見事に描写された傑作ウェスタン。西部劇に親しみのない人にも、ぜひオススメしたい。