『カラマーゾフの兄弟(3)』/ドストエフスキー


金と、女と、名誉と、殺人。
まるでミステリの筋書きが、すべて詰まっている。
高村薫が「自分はミステリを書いているつもりはない」と語るのも、
本書を読むとよくわかる。
人間の原罪とはシンプルで、普遍的だ。
第3巻ではミーチャの「恥辱」をめぐる話が後半の焦点となるが、
自意識の高い男の言動というのは、かくもぶざまで、愛しいものか、
と思った。決して人事ではない。人事ではないよ。


カラマーゾフの兄弟3 (光文社古典新訳文庫)

カラマーゾフの兄弟3 (光文社古典新訳文庫)