『真夜中への挨拶』/レジナルド・ヒル


『死者との対話』『死の談話集』に続く、ダルジール警視シリーズ作品。
自殺したと思われる中年男の周辺を探っていくうちに、パスコーはダルジールの過去の「汚点」と遭遇する。今回は事件の関係者の「独白(事情聴取)」の章が織り交ぜられていて、たくさんの「小さな物語」が内包されているのだが、それが読者の混乱を招かないぎりぎりのレベルに収められているのは名人技か。物語の各所にエミリー・ディキンソンの詩が効果的に使われていて、こちらもまさにレジナルド・ヒル節の面目躍如だった。


真夜中への挨拶 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

真夜中への挨拶 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)