『ヒトラー 最期の12日間』/オリヴァー・ヒルシュビーゲル監督


ここで描かれる私人としてのヒトラーは、優しさや人の痛みを理解する男。
しかし「総統」としての彼は、非情、冷酷な暴君となる。
それを二面性と見るのは適切ではないだろう。
なぜなら、彼の中ではそのふたつは矛盾しないからだ。
完全に合一した精神が、局面によってその表現を変える。
そこにこそ、人間の真実があり、ヒトラーもまた、ただの人にすぎない。
彼の心中には、「自分は選挙によって選ばれた存在だ」という論拠があった
のだろう。その行為が、完全に行き過ぎ、過ちであったとしても。


ヒトラー~最期の12日間~スタンダード・エディション [DVD]

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