『ヘルボーイ 妖蛆召喚』/マイク・ミニョーラ


映画化もされた“ヘルボーイ”の第5作。
1944年12月23日、ナチスドイツの「ラグナロク計画」によって召喚されたヘルボーイ。彼は超常現象捜査局(B.P.R.D)によって育てられ、世界各地の超常現象の解明にあたっている。外見は赤鬼のようだが、内面はナイーブ。仲間が窮地に立たされれば、自分の身体を張って助ける。頼もしく痛快なヒーローだ。


本書は第1期シリーズの集大成として、ラスプーチンやヘカテなど物語の鍵をにぎるキャラクターが再登場。タイトルにもなっている「妖蛆」とはもちろん、ラヴクラフトの影響を受けた地球外生物だ。その筋の人にとっては、垂涎の作品に仕上がっているといえる。


それにしてもマイク・ミニョーラの芸術性は、どう表現したらよいのだろう。シンプルな線と、黒ベタの影。彼が描く彫像は、下手な宗教画よりも荘厳で、神々しい。その精神は、ゴシックを超えたゴシックだ。


ヘルボーイ:妖蛆召喚 (JIVE AMERICAN COMICSシリーズ)

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