『悪党パーカー/裏切りのコイン』/リチャード・スターク


悪党パーカー・シリーズ第9作。
長い刑務所暮らしから抜け出したばかりの犯罪者仲間レンケから、仕事に誘われたパーカー。獲物は展示会に出展される200万ドル相当のコイン。依頼主であるコインディーラー、ビリー・レバタードのシロウト加減に嫌気がさし、いったんは仕事を下りることを決意するパーカーだったが……。


その後のシリーズでも大きな役割を果たす未亡人、クレアが初登場。仕事中に女は抱かない、と決めていたパーカーがそのルールを破るくらいの存在なのだが、中盤まではその魅力がわかりにくい。終盤で発揮される気丈さに、惹かれるものがあったのか?シリーズの中でも珍しく、パーカーの迷いが垣間見える作品だ。ストーリーテリングの妙は、いまさらいうまでもない。