『文庫版 塗仏の宴 宴の始末』/京極夏彦


京極堂>シリーズ第7弾。
『宴の支度』と合わせると文庫で2000頁近く。さすがに、長いなぁ……。
ただ、ノベルス版で読んだときよりも面白いと感じた。短期間でシリーズを読み返していることと、『宴の支度』の後すぐ読み始めたからだろう。シリーズ総決算、オールキャストともいうべき作品なので、前作までの記憶がどこまであるかが鍵である。


『宴の支度』『宴の始末』を通して読むと、前者はルール説明であり、まさに「宴の支度」であったことがわかる。また、終盤の山中での活劇は百鬼夜行そのもので、この演出も『宴の支度』で連作短編形式をとったことが布石になっている。構造としては新鮮な部分も多く、評価すべきところだろう。


内容としては、京極堂自身の事件であり、彼の心情が本書でようやく明かされる。ミステリとしてというよりは、ゲーム小説、キャラクター小説としての面白さに注目したい。榎木津や木場の活躍も多く、ファンには嬉しい限り。


文庫版 塗仏の宴 宴の始末 (講談社文庫)

文庫版 塗仏の宴 宴の始末 (講談社文庫)