『巷説百物語』/京極夏彦


<百物語>シリーズ第1弾。「小豆洗い」「白蔵主」「舞首」「芝右衛門狸」「塩の長司」「柳女」「帷子辻」の7編を収録。文庫版の解説は大塚英志


京極版・必殺シリーズとでもいうべき、人の心の闇をえぐりだす作品集である。妖怪の姿を借りて、闇に葬り去られた事件の決着を請け負う御行一味。「妖怪は共同社会における装置である」と語る京極堂シリーズが「解体」の物語であるとすれば、こちらは「構築」というべきか。御行一味の暗躍が、戯作者の山岡百介によって記されるとき、その物語はいつしか一人歩きをはじめるのだろう。小股潜りの又市、山猫廻しのおぎんなど、登場人物もそれぞれ魅力があって記憶に残る。


京極の描く剣客小説なんかも、一度読んでみたいなぁ。


巷説百物語 (角川文庫)

巷説百物語 (角川文庫)