『殺しの烙印』/鈴木清順


モノクロームの画面の中にさまざまなテクニックが詰め込まれた、鈴木清順らしいアクション映画。物語の筋は、標的を殺せなかった“ナンバー3”の殺し屋が、組織から追われるといういたってシンプルなもの。ケレン味が強いのは登場人物の方で、「米の炊ける匂いで快感を覚える主人公」とか、「蝶の標本を部屋中に飾る女殺し屋」とか、ヘンな人物が次々と登場する。でもこれが、とにかく格好いいんだなあ。特に真理アンヌのお人形のような美貌と演技には、始終ゾクゾクさせられっぱなしだった。ジム・ジャームッシュが敬愛する、というのも良くわかる。


主演は宍戸錠、真理アンヌなど。
鈴木清順が日活から「アクションとハダカがあればよい」といわれて撮った作品。脚本の具流八郎は8名の映画人の共同ペンネーム。鈴木清順はこの作品の内容と興行不振を理由に日活から解雇され、裁判所に提訴している。続編として、『ピストル・オペラ』が公開された。


殺しの烙印 [DVD]

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