『タイタンの妖女』/カート・ヴォネガット・ジュニア


これは、なんとも奇妙で、刺激的な小説だなぁ。壮大な計画のもとで、人間が翻弄されるさまを描いたSFなのだが、「人間ってこんなもんじゃん」というアイロニーが隅々にまで浸透している。寓話として済ませるには、あまりにもリアル。もう50年も前の作品(!)だけれど、現代でも通用する。というか、いまの方が切実に迫ってくるものがあると思う。