『春期限定いちごタルト事件』/米澤穂信
「小市民」を目指す高校1年生の小鳩くんと小山内さんがさまざまな謎に遭遇する、連作短編集。いわゆる「日常の謎派」のミステリは、東京創元社の十八番ですね。
ミステリとしては格別珍しい点はないのだけれど、小鳩くんと小山内さんがなぜ「小市民」を目指すようになったのか、というバックグラウンドは興味深い。ただ、「小市民たるもの、事件を華々しく解決してはいけない」というお約束が物語のなかでうまく機能していないので、ここを次回作以降で期待したいところ。個人的には、『さよなら妖精』の読後感と同様に、作者の性格の悪さがとても好印象だった。
- 作者: 米澤穂信
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2004/12/18
- メディア: 文庫
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