『探偵は今夜も憂鬱』/樋口有介


柚木草平シリーズ第3作となる短編集。エステ・クラブの女社長から義妹の調査を依頼される「雨の憂鬱」、女優の失踪事件を扱う「風の憂鬱」、登山中死んだはずの夫からの手紙をめぐる「光の憂鬱」を収録する。


個人的には前2作の長編よりも、こちらの短編集の方が面白かった。おそらく草平の「美女を見るとすぐに惚れる」という病気が、次々と発病するからだろう。本当に草平は懲りないというか、なんというか。でもやっぱり、美女を前にすると体温が上がる感覚は、とてもよくわかるなあ。女心はなんとやら、複雑怪奇で、でもそれに振り回されるのも悪くはない。美女である、という条件つきではあるけれど。


探偵は今夜も憂鬱 (創元推理文庫)

探偵は今夜も憂鬱 (創元推理文庫)