『奪取』/真保裕一
日本推理作家協会賞、山本周五郎賞をダブル受賞した長編サスペンス。「小役人シリーズ」や『ホワイトアウト』は読んでいたが、こちらはずっと未読だった。
ヤクザの街金から1260万円の借金をした友人・雅人を救うため、パソコンを使った偽札づくりを実行した道郎。いったんは成功したかに見えたが、偽札づくりの技術を手にしようとするヤクザから追われる身に。道郎は逃亡の手助けをしてくれた水田のもとに身を寄せ、新たな戸籍を手に入れる。
より完璧な偽札をつくりあげるために……。
本書が素晴らしいのは、第一部、第二部、第三部が独立した小説としても高い完成度を誇るところ。つまり、三つの小説分のプロットを惜しげもなく使っている。徹底した取材にもとづく偽札づくりの過程は圧巻だが、それ以上にユニークなキャラクター造形が痛快だ。一気読み間違いなしの傑作。
- 作者: 真保裕一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1999/05/14
- メディア: 文庫
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