『ニライカナイからの手紙』/熊澤尚人監督
蒼井優の存在感が際立つ作品。彼女にはカメラが良く似合う。
ただ、この映画は「計算」がうまくなされておらず、全体的に雑な感じがする。郵政民営化の真っ只中で、郵便局員(前田吟)に「我々の仕事は…」と語られても、なんだか白々しい。ゆうパックが出てきた瞬間、「郵政公社の宣伝映画か?」と現実にひきずり戻されてしまった。理屈っぽくて、ごめんね。でも、そういう細部にこそ、クリエイターの手際が求められるのだと思う。幻想は、やはり幻想として貫くべきだ。
とはいえ、蒼井優がガラス玉を手に自分の写真を撮っていくシーンは美しい。
舞台設定をあと10年前にしていれば、最高に素晴らしい作品だったかもしれない。
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