『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』/村上春樹


ずいぶん前に読み終わったので、記憶が薄れかけているのだけれど、やっぱりこの人とジョン・アーヴィングは似ているな。人生のとらえ方が、薄布を透かしているようで、もどかしくもあり、切なくもある。ある種の諦念が、もやもやとしながらも、ゴミ箱にぎゅっと押し込められる感覚。と、自分でいってても、よくわかんないのだけれど。でも、どこかできっと、僕は共感している。わが身を振り返ってみても、積極的に未来を志向しているかといわれると、答えに窮するものね。とはいえ、おそらく周りが考えるほど、後ろばかりを見ているわけじゃないんだ。ただ、明日という概念が、人よりまぶしく感じられるだけなのだと思う。


世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)

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