『グリンプス』/ルイス・シャイナー


地味なんだけど忘れられない小説、というのは確かにあって、これはそのひとつ。世界幻想文学大賞受賞作だが、おそらく日本ではあまり読まれていない小説だろう。その理由のひとつはジャンルわけしにくい作風にあって、創元SF文庫に入ってるんだけど、どちらかというとファンタジーに近い。帯には「ロックSFファンタジイ」なんて書かれ方をしている。ロック・ミュージック版『フィールド・オブ・ドリームズ』といってもいいかもしれない。


主人公レイは不思議な能力のせいでタイムスリップしてしまい、ドアーズ、ジミ・ヘンドリックスビーチボーイズと出会うことになる。レイの抱える問題と、ミュージシャンたちが抱える問題が交錯して物語は進んでいくのだけれど、特にビーチボーイズの『スマイル』をめぐる話は圧巻。もう10年くらい前に読んだ本なので細部は忘れてしまったが、もう一度再読したいと思う。でも、どこに行ったかな?


なお、タイトルはヤーズバードの曲「Glimpses」からとっているらしい。


グリンプス (創元SF文庫)

グリンプス (創元SF文庫)