『ヒューマン・ファクター』/グレアム・グリーン


自身も諜報機関の一員だったグレアム・グリーンのスパイ小説。
とはいえ、大掛かりな陰謀や派手な活劇シーンはなく、
スパイの私生活が静かに描かれていく。
諜報に生きる男たちもまた、善良な夫であり、父親なのだ。
主人公のカッスルが見出した「祖国」には、強い説得力がある。
それだけに、冬枯れのような終幕には深い余韻が残った。
この本は、読んでみないとその素晴らしさが伝わらないと思う。


ヒューマン・ファクター―グレアム・グリーン・セレクション (ハヤカワepi文庫)

ヒューマン・ファクター―グレアム・グリーン・セレクション (ハヤカワepi文庫)