『タフの方舟(2) 天の果実』/ジョージ・R・R・マーティン


1巻目から順に読んでいくと、タフが「神」に近づいていく経過がよくわかる。
人口問題に決定的(かつ皮肉)な解決策を提示する、「天の果実」などはその極北といえるだろう。この連作集は80年代に書かれたものだが、「もはや環境問題には神の力を用いるしかない」という結末は、リアルな警鐘にほかならない。“セヴァン・スズキの伝説のスピーチ”に代表されるサステナビリティの考え方と、私たちはもっと真剣に向き合う必要があるのではないか。そう思わせる小説を、20年も前に著していたG・R・R・マーティンの先見性には、ただ圧倒されるしかない。