『私の男』/桜庭一樹


第138回直木賞受賞作。
奪いあい、腐りゆく父と娘の姿を、感傷を入れずに描く。
中盤、北の海を舞台に回想が進むあたりの筆力がすごい。
読んでいて、なんだか骨の髄が寒くなってきた。
どろっとした感じが、桐野夏生の『柔らかな頬』を髣髴とさせるなあ。
直木賞は、こういうの好きですね。


私の男

私の男