『隠し部屋を査察して』/エリック・マコーマック
ときには想像のチカラに身をゆだね、善悪を超越した世界を旅するのも、いいかもしれない。妄想はけっして、罪ではない。結局のところ、傷つくことがあるとしても、それは自分自身のほかにないのだから。
マコーマックの描く世界は、万華鏡をのぞきこんだような、不思議な陶酔をもたらせてくれる。理屈をつければ、いろんな評論がありうるのだろうが、この物語群を解体するのはもったいない。彼が語る驚異について、不思議について、ただ耳を傾けるだけで私にとっては充分だ。
語りのテクニックについていえば、「庭園列車」のような官能小説の書き方もあったのだな、という発見が面白かった。ベストは、「刈り跡」かな。
- 作者: エリック・マコーマック,増田まもる
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2006/05/20
- メディア: 文庫
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