『許されざる者』/クリント・イーストウッド監督


四度めの観賞。
年老いたガンマン、ウィリアム・マニーは何のために、暴力で町を支配する保安官との対決を選んだのか。それは人の尊厳を守る、という一種の信念によるものではなかったか。町を去るウィリアムは叫ぶ。「娼婦を人として扱え。さもないと、お前たちを皆殺しにするぞ」と。そこにはかつて、女子供を殺めることにさえためらわなかった過去の自分、許されざる者としての自分が横たわっている。ウィリアムは保安官を撃ち抜きながら、自分自身を殺したのではないか。決して許されない罪を背負った彼の表情が、晴れることはない。その禁欲的な姿は、苦行者にも似て、切実な共感を覚える。


許されざる者 [DVD]

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