2007-05-27から1日間の記事一覧

90年代の清算(その1)

僕にとっての90年代は、『羊たちの沈黙』によって幕を開けた。フロイトとユングの難解さに打ちのめされた高校時代は、文芸系クラブの“開放的牢獄”ともいえる部室に入り浸った。トランプと、野球ゲームと、雑記張と呼ばれる交流ノートが救いだった。調子にの…

『コックサッカーブルース』/村上龍

村上龍、1991年の長編小説。「ドラゴン・ツリー・フェスティバル」という謎のSMパーティをめぐり、出版社のオーナー・堀坂進太郎が陰謀めいた世界に足を踏み入れるさまを描く。SMに関しては大沢在昌『心では重すぎる』や、石田衣良の池袋ウエストゲートパー…

『脳と仮想』/茂木健一郎

いや、これはすごいな。ここ半年ほど、考えてきたことの回答がここにはある。それはリアルとは何か、であり、その対極をなす仮想とは何か、ということでもある。「人間にとって切実なものは、実はほとんど仮想の世界に属している」。後頭部をガツンとやられ…